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経営戦略 マーケティング 用語集

製品ライフサイクル(PLC:プロダクト・ライフサイクル)とは

1.  製品ライフサイクル(PLC)とは

製品ライフサイクル(PLC : Product Life Cycle)とは、製品が市場に投入されてから売上げが伸び、やがて減少して衰退するまでという、売上高の時間経過を示したもので、いわば市場での製品の生涯を表したものになります。

2.  製品ライフサイクルの概要

製品ライフサイクルでは、売上高の時間経過を次の4つの期に分けています。

2.1   導入期

製品が市場に投入され始めた時期のことです。

新しい技術によって市場が創出されることも多くみられます。

競合他社はまだあまり存在していない時期です。

売上高はゼロから緩やかに伸び始めます。

この時期の利益は、まだ売上が少ない割にはマーケティングなどの支出が大きいため、マイナスになります。

この時期の戦略上の課題は、いかに顧客に製品を認知してもらうか、ということになります。

それにより需要を喚起し市場の拡大を図ることが大切になります。

そのためには製品の使い方や従来品と比べた優位性などを啓蒙するような活動も必要となります。

この時期では、特許などの知的財産を有する企業による市場や利益などの独占が起こるケースも見られます。

また、この時期における企業には、社会のトレンドやニーズに速やかに対応したアイデアを有し、それを事業として軌道に乗せられるような手法が必要とされます。

2.2   成長期

導入期の次の段階です。

売上高は製品が市場に認知され始め、急激に伸びます。

この時期の利益は、売上高が伸び始めたことも手伝って、プラスに転じるようになります。

顧客は製品の使い方や購入方法などに関する知識を身につけてきます。

製品には、市場セグメントごとに異なるニーズに対応したものが求められるようにもなります。

この時期の戦略上の課題は、製品の市場への浸透を高めることや、競合他社の参入も増えてくることから他社との差別化を図りつつ自社のブランドを選んでもらうことなどが挙げられます。

さらには特定の市場セグメントのニーズに応じて製品ラインナップを拡大していくことも課題として挙げられます。

また、この時期における企業には、事業の規模拡大に伴ってマネジメントの手法を次の段階へとアップグレードさせることが求められます。

2.3   成熟期

成長期の次の段階です。

売上高は製品が市場に行き渡りつつある状況から伸びが鈍化し始め、やがて減少に転じるようになります。

この時期の利益は売上高の低迷から減少し始めます。

ただし投資額が少ないため、キャッシュフローは高水準になります。

この時期の戦略上の課題は、競合他社とのシェアの奪い合いから差別化により身を守ることになります。

この時期では業界の構造はほぼ固まってきており、市場シェアが上位の少数の企業による寡占化が進みます。

これらの企業は、市場シェアの維持、できれば拡大することを目指し、低価格で販売量の増加を図るような戦略がみられます。

これらの企業にとって脅威となるのは、イノベーションなどにより自社製品を上回る新たな価値を有する新製品が登場することです。

このような製品は新規参入や異業種から生み出されることが多いので、他の業界の動きにも目を配っておかなくてはなりません。

また、市場シェアが下位の小規模企業は、特定の市場セグメントに集中する戦略で生き残りを図る傾向があります。

2.4   衰退期

成熟期の次の段階で、製品ライフサイクルの最後の時期です。

売上高は、減少が加速し始めます。

この時期の利益は、売上高の減少により停滞します。

この時期の戦略上の課題は、売上げが減少しても利益を確保するために、いかに生産性を高めるかということになります。

この時期における企業は、新規の投資の必要がないため、ごく一部の高い市場シェアを持つ企業は利益を上げることができますが、他の企業はイノベーションによって新たな価値を創出するか、もしくは事業から撤退するかという選択への決断が求められます。

また、利益を上げている高いシェアを持つ企業も、その利益を現有製品に再び投資するのではなく、別の新製品や新事業に投資するようになります。

3.  製品ライフサイクルによるマーケティング戦略

このように製品ライフサイクルの各段階によって、製品の売上高や利益の推移が異なることから、各段階で取るべきマーケティング戦略の定石も変わってきます。

製品の特性や自社の経営資源などの条件によっては、これらの定石通りにはならないこともありますが、マーケティング戦略の策定における指針となります。

4.  製品ライフサイクルの注意点

製品ライフサイクルの考え方は大変有用だといえますが、次のような限界もある点に注意が必要です。

(1)    あらゆる製品が製品ライフサイクルに従うとは限らない

すべての製品が製品ライフサイクルの示すように、導入期、成長期、成熟期、衰退期の経過に沿うとは限りません。

例えば、市場投入後、急激に成長し、すぐに衰退していくようなブーム型製品もよく見られます。

逆に市場投入してから緩やかに浸透し、長期にわたり衰退の兆候がみられないような定番製品もあります。

(2)    適用する製品レベルによって製品ライフサイクルの長さや形状が大きく異なる

製品のレベルとは、製品個別のブランドや製品のカテゴリーなどのように、製品ライフサイクルの考え方を適用しようとする製品の括りの単位のことです。

一般に、個別ブランドの製品ライフサイクルのほうが製品カテゴリーのそれと比べて長さが短く、また形状も一般的な製品ライフサイクルのようなS字カーブを描かないことが多くなります。

また、個別ブランドとしては衰退期にあっても製品カテゴリーとしては成長期にあるようなケースもよく見られます。

5.  まとめ

製品ライフサイクル(PLC : Product Life Cycle)とは、製品が市場に投入されてから売上げが伸び、やがて減少して衰退するまでという、売上高の時間経過を示したもので、その段階を「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つに分けています。

製品ライフサイクルの各段階によって、製品の売上高や利益の推移が異なることから、各段階で取るべきマーケティング戦略の定石も変わってきます。

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