経営戦略 用語集

ドメインとは

1.  ドメインとは

ドメイン(domain)とは、企業が事業を営むうえでの領域や範囲のことです。

ドメインは企業などの組織が置かれている環境のなかで、どの領域で生きていくかを明確にすることとなり、生存領域や存在領域という意味を持ちます。

このような意味から、ドメインの定義は企業の命運を大きく左右するともいえます。

また、ドメインが明確でないと、企業は事業を営む領域の判断基準がないため、あらゆる事業に着手してしまう恐れがあり、その結果として貴重な経営資源が分散し、競争優位性を確立できる領域がなくなってしまうことになります。

ドメインはその上位に位置するビジョンや企業理念で定義した企業の目指す姿やありたい姿から導き出されます。

したがってドメインは現在の企業や事業の領域だけでなく、将来への広がりや発展性を含めたものになります。

2.  ドメインのレベル

複数の事業を営む企業などの組織においては、経営戦略と同様にドメインにも「企業ドメイン」「事業ドメイン」というレベルがあります。

詳しくは、こちらの記事を参照下さい。

関連記事:ドメインのレベルとは-企業ドメインと事業ドメイン

3.  ドメインの要件

大滝・山田・金井・岩田[2006]によれば、ドメインに求められる要件としては、次の4つをあげています。

ドメイン設定にあたっては、このような要件を満たすように定義することが重要です。

  • 適度な広がりを持つこと(狭すぎず、広すぎないこと)
  • 将来の発展方向を視野に入れたものであること
  • それとの関連で自社が形成すべき中核となる能力(コア・コンピタンス)を規定すること
  • 企業内外の人々の共感を得られる納得性(ドメイン・コンセンサス)を有すること

4.  ドメイン定義の方法

ドメイン定義の方法については、こちらの記事を参照下さい。

5.  ドメイン定義の流れ

ドメインの定義にあたっては、次のような2つの側面があります。

  • 企業理念やビジョンといった企業としての「意思」や「思い」をもとに定義すること
  • 環境分析により明確になった企業を取り巻く「現状」を踏まえて定義すること

ドメイン定義の流れは、まずは上位に位置する企業理念やビジョンに基づいて中長期的な広いドメインを定義し、次に環境分析を行って力を入れる領域を定めてドメインを絞り込むという手順で、適切なドメインを決定していきます。

6.  ドメインの必要性と効果

ドメインを定義することの必要性や定義によって期待されるメリットは次のようなものが挙げられます。

6.1   注力する領域の明確化

ドメインを規定することは、「戦う土俵」を明らかにするだけでなく、「戦わない領域」を明確にすることでもあります。

ドメインを規定することにより、企業などの組織の構成員に対して、どの領域で活動の力を入れてほしいかという経営層からの明確なメッセージになります。

また、伊丹・加護野[1993]によれば、これには2つの意味があります。

(1)    分散化の回避

ドメインを設定することによって、組織の構成員が力を入れる方向性を合わせやすくなり、活動が分散してしまう恐れを回避することができます。

(2)    過度の集中化の回避

ドメインの大きさを適切に定義することにより、組織の構成員が注力する範囲が狭くなりすぎることを回避することができます。

6.2   必要となる経営資源の明確化

ドメインを規定することにより、企業が事業を営むうえで必要となり、蓄積すべきヒト・モノ・カネなどの経営資源について、組織のなかでの共通理解を得ることができます。

6.3   アイデンティティの醸成

ドメインを定義することは前述のとおり、その企業など組織の生存や存在領域を定めることになるため、その組織としてのアイデンティティが作られることになります。(伊丹・加護野[1993], 森田[1991])。

これには次のような2つの見方があります。(大滝・山田・金井・岩田[2006])

(1)    内的アイデンティティ

ドメインを定義することにより、企業など組織の構成員の一体感の醸成を促すことができます。

(2)    外的アイデンティティ

ドメインを定義することにより、社会において企業など組織が存在する意味が明らかになり、企業が果たすべき社会的責任を明確にするうえで有効となります。

7.  ドメイン・コンセンサス

榊原[1992]によれば、このようなドメインの規定によって内的・外的アイデンティティが醸成されることを「ドメイン・コンセンサス」と呼び、企業など組織の強さの源となるとしています。

ドメインに対するコンセンサスを得ること、すなわちドメインへの納得感や共感がいかに重要であるかがわかります。

8.レビットのマーケティング近視眼(マーケティング・マイオピア)とドメイン

セオドア・レビットにより主張された、ドメインの望ましい定義について分析したものです。


詳しくは、こちらの記事を参照下さい。

9.ドメインの再定義

企業が既存のドメインからさらに成長していくには、時代とともに変化する市場のニーズに適応していくためにも、ドメインの再定義や見直しが求められることになります。
創業まもない企業でない限りは、ドメインを一から定義することよりも、このような再定義を行う必要性のほうが高いといえます。
一方で、ドメインの再定義に成功した企業は残念ながらそう多くはありません。
また、ドメインの見直しにあたっては、シナジーや範囲の経済性にも焦点をあてることも求められます。
自社の限りある経営資源を有効活用するには、どのような範囲であれば適切かを見定めるためです。
しかしながら、これらを踏まえてドメインの再定義を行うことは実際には難しいといえます。

詳しくは、こちらの記事を参照下さい。

10. まとめ

ドメイン(domain)とは、企業が事業を営むうえでの領域や範囲のことです。
ドメインは企業などの組織が置かれている環境のなかで、どの領域で生きていくかを明確にすることとなり、生存領域や存在領域という意味を持ちます。
このような意味から、ドメインの定義は企業の命運を大きく左右するともいえます。
また、ドメインが明確でないと、企業は事業を営む領域の判断基準がないため、あらゆる事業に着手してしまう恐れがあり、その結果として貴重な経営資源が分散し、競争優位性を確立できる領域がなくなってしまうことになります。
ドメインはその上位に位置するビジョンや企業理念で定義した企業の目指す姿やありたい姿から導き出されます。
したがってドメインは現在の企業や事業の領域だけでなく、将来への広がりや発展性を含めたものになります。

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