経営戦略の策定において重要な要素となるドメイン定義について解説します。
目次
1. ドメイン定義の3つの軸とは
ドメイン定義の3つの軸とは、デレク・エーベル(Abell[1980])による「顧客層」「顧客機能」「技術」の3つの軸によりドメインを設定するという考え方であり、ドメイン定義の代表的な方法として知られています。
なお、Abell[1993]では技術に代わり「製品形態」という用語を用いていますが、一般的には前述の「技術」を使用します。
2. 3つの軸の概要
ドメイン定義の3つの軸の概要について説明します。
この3つの軸は「誰に(Who?)」「何を(What?)」「どうやって(How?)」提供するかを意味しているといえます。
2.1 顧客層 (C: Customer)
企業など組織や事業が対象とする市場の観点からドメインを定義することです。
「誰に(Who?)」に相当します。
2.2 顧客機能 (F: Function)
企業など組織や事業が提供する製品・サービスによって充足させることが求められるニーズの観点からドメインを定義することです。
「何を(What?)」に相当します。
2.3 技術 (T: Technology)
企業など組織や事業が有する技術の観点からドメインを定義することです。
「どうやって(How?)」に相当します。
3. ハメルとプラハラードによる戦略アーキテクチャー
このエーベル(Abell[1980])によるドメイン定義の考え方に対して、コア・コンピタンス経営で有名なゲイリー・ハメルとC・K・プラハラード(Hamel and Prahalad[1994])も、「戦略アーキテクチャー(strategic architecture)」の概念によって同様の考えを述べています。
具体的には、すべての会社にはビジョンを実現に導く設計図が必要であり、その設計図を描くためには、例えば今後10年間に提供していく新しい機能、それを生み出すために必要なコア能力、そしてその価値を効果的に顧客に届ける方法に関するステートメントが必要であるとしています。
4. まとめ
ドメイン定義の3つの軸とは、デレク・エーベル(Abell[1980])による「顧客層」「顧客機能」「技術」の3つの軸によりドメインを設定するという考え方であり、ドメイン定義の代表的な方法として知られています。